#22 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』脚本での苦労

Update:
2024.12.02

野木亜紀子 脚本家

Update:
2024.12.02

野木亜紀子、脚本家。主な脚色作品にドラマ「重版出来!」「逃げるは恥だが役に立つ」、映画「アイアムアヒーロー」「罪の声」「カラオケ行こ!」など。オリジナル作品にドラマ「アンナチュラル」「獣になれない私たち」「コタキ兄弟と四苦八苦」「MIU404」「フェンス」など。2024年、「アンナチュラル」「MIU404」の続編にあたる映画「ラストマイル」公開、日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」放送。

収録レポート

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。

 

引き続きゲストとして、脚本家 野木亜紀子さんをお招きした、#22収録の様子を紹介します。

約一ヶ月の期間があき、今回から収録2回目へ突入。これまでの配信を受けて、リスナーの皆さまから頂いたメッセージの紹介からスタートしていきます。

 

ちなみに先日から、番組内でメッセージを紹介された方には、完成したばかりのステッカーをプレゼントしています。ぜひこのHP内のメッセージフォームからお送りください!

 

今回は「野木さんのインプット方法は?」という質問。

 

基本的なドラマ・映画はもちろん、小説・舞台・ニュースなどをチェック。フィクションに関しては作り手目線になってしまうことも良く聞くパターンですが、野木さんは楽しめるタイプとのこと。また、映画などのフィクションに関しては学生時代に「ものすごく」観ていたことが蓄積になっているそうです。

 

林さんも興味津々のテーマである野木さんのインプットに関しては、次回以降も聞いていきますのでお楽しみに。

そんな流れから、お話はドラマの話数についてへと展開していきます。

 

海外の配信ドラマが長すぎて、なかなか見る時間が取れないという問題。特にアメリカのドラマは人気があるうちは長く続いていくというのが一般的です。『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』(シーズン20)『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』(シーズン22)など、レンタルDVDの時代から続く作品が未だにシリーズを更新していることからも、そのカルチャーが見て取れます。

 

一方で、例えば『イカゲーム』などが挙げられるリミテッドシリーズと呼ばれる形態は8話。観やすいかなと思いきや、これはちょっと短いと思うと野木さん。10話、一昔前は12話で一括りにされることも多かった日本の連続ドラマ。理想の話数については、まだまだ議論のしがいがありそうです。

続いて現在放送中の、TBS系 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』のお話へ。

1955年からの石炭産業で躍進した長崎県・端島と、どこか閉塞感が漂う現代の東京を舞台とした本作。

 

1955年と近現代とはいえ、野木さん史上初めての時代物であり、時代考証という、作品内に登場する衣装や小道具、言葉遣いや作法などが、取り扱う時代に沿っているのか考証する必要が生まれます。

 

ちなみに、連続テレビ小説や大河ドラマを扱っているNHKでは、ディレクターたちが長い期間をかけて取材をし、錚々たる考証のプロたちが集まってじっくりと時代考証を進めていくそう。

 

端島の取材や時代への理解を進めるにあたり、1人では難しいと感じた野木さんは、NHKの人に取材のやり方を取材。『いだてん〜東京オリムピック噺〜』にて取材などを担当した渡辺直樹さんを紹介され、そこからおなじく『いだてん』繋がりで長崎県出身の林啓史さんと共に取材をおこなっていくことに。

 

実際に端島に住んでいたご高齢の方への取材も、地元出身の林啓史さんが入ることで、かなり取材しやすくなったと野木さん。2人で激論を交わしながら、手を尽くして取材を進めていき、シナリオっていったそうです。

また、映像作りに関しても制作秘話を頂きました。

 

企画が立ち上がった段階から、定期的にCGチームと美術チームと塚原あゆ子監督が綿密に打ち合わせを重ねます。大規模な予算とスケジュールがある場合、ブルーバックで撮影した後にCGを作って当てはめていくパターンが多い中、今回はCGを先に作るアプローチを取ったそうです。

 

「現場からはあの脚本家が勝手なこと書きやがってと思われてる」とおっしゃる野木さんでしたが、現場が総力を尽くして野木さんの脚本を更に良いものにしていこう、という姿勢の結晶とも言える作り方だなと個人的には感じました。

 

新春スペシャルドラマ 『スロウトレイン』のお話も出たところで、第22回はお時間に。次回は野木さんのお話はもちろん、林さんのMANGA APARTMENT VUYに関するお話も!

 

ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。