#16 『ほぼ日』が上場した理由

Update:
2024.10.21

糸井重里 ほぼ日代表

Update:
2024.10.21

ほぼ日代表 糸井重里(いとい・しげさと)。コピーライターとして一世を風靡し、作詞や文筆、ゲーム制作など、幅広く多彩に活躍。1998年にスタートしたウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」では、『ほぼ日手帳』をはじめ『ほぼ日のアースボール』『ほぼ日の學校』など様々なコンテンツの企画、開発を手掛ける。

収録レポート

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。

 

引き続きゲストとして、ほぼ日代表 糸井重里さんをお招きした、#16収録の様子を紹介します。

今回は前橋BOOKFESについてのお話からスタート。前回は2022年に行われ、今年2024年には配信日の直前である10月19日・20日に二度目の開催。

 

「本でみんなが元気になる。」という糸井さんのコンセプトの元、前橋市とも協力して行われる官民連携の「本のやりとり」をするイベント。誰かが読んでくれたら嬉しい本が全国から前橋に集まり、当日参加者が出会った本を持ち帰っていく、古本市ではない新たな取り組みです。

 

一方で本を持っていない、本を読む習慣が無い人の存在も知ることになります。本を読む習慣はなかなか自分で獲得しづらいものであり、幼少期や両親の教育方針などに大きく左右されます。

 

本を読まない人に話を聞いていくと、実は漫画は大好きでたくさん読んでいるパターンがあると糸井さん。時代を遡って考えてみると、小説が一般的に読まれ始めた頃は「小説ばかり読んで!」と疎まれていました。映画もそう。そして今、漫画もその領域に入り始めているのかもしれません。

ショート動画を見ていることもそんな風に…?

1980年代から90年代、週刊少年ジャンプが新聞よりも売れた時代から、出版不況の波を受け、いま世界へのルートを確立した漫画はより大きな市場へと羽ばたきました。編集者と作家が打ち合わせた内容が、数週間後には全世界で楽しまれ、海外からの感想も多く寄せられる。日本の漫画が世界で同じような価値観で楽しまれている状況にあると林さん。

 

漫画という表現手法がこれだけ一般化された今、漫画「家」だけしか漫画で表現する職業が無いのはもったいないんじゃないか、というお話から、糸井さんはデザイナーのように、会社で漫画を作る漫画部を立ち上げたい!と出来上がったばかりのアイデアを話してくれました。

 

文字と写真、イラスト、動画での表現に加えて、漫画でやりたいという場面もどんどん増えてきています。これまで文字だからと敬遠されてきたテーマも、漫画であれば興味を持つ人の幅が広がることもあるかもしれません。

ほぼ日はこうして、糸井さん自身がメディアの役割を担いながら、そこで出たアイデアも吸収し発信していく、というループの中で仲間を増やし大きくなっていきました。2017年には「株式会社 ほぼ日」は上場を果たしています。

 

上場という選択肢も、響きだけ聞くと糸井さんらしい選択肢に思えないかもしれません。特に最近では株式投資ブームなども合わせ、お金を増やすために企業の株を買ったり売ったり。そんなイメージも付いているかもしませんが、やはりそこにもしっかりと意味が。

 

数年前から話題になっている「プロセスエコノミー」という単語。商品や制作物などのアウトプットだけでなく、そこに至るまでの過程も収益に繋がるという考え方で、例えばアイドルをオーディションからデビューまで追いかけるドキュメンタリー番組などがこれに該当します。

 

プロセスにこそ楽しみがある、と糸井さん。糸井さんのキャリア自体もそうですが、ほぼ日でもたくさんのアウトプットを世に送り出す中で、その開発に込められた想いやプロセスを共有し、多くのファンと歩んできたのです。

株式会社として、上場するということは、ある意味で社会に公共性を持つということ。人事労務的にも、会社全体のシステムに問題が無いか、そこで働く人たちに問題が起きないようになっているか。新規上場でチェックされる基準は非常に厳しいものとなっています。

 

厳しい基準の中で、面白くしていくためのルールを作っていく。会社で働く人たちにとっても、上場しているという看板は一つの幸せに繋がっているはず。会社自体もプロセスを楽しんで、いいアイデアを生み出しながら皆が行く末が気になるような存在に。糸井さんの考え方は、企業や利益、株式といった経済周りでも新たな価値観を与えてくれます。

 

次回17回はついに糸井さんゲスト最終回。この番組の真髄でもある、クリエイター同士のコラボ、新展開が待ち受けています!

 

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