#43 林士平✕佐野亜裕美によるドラマ企画会議
- Update:
- 2025.05.05

佐野亜裕美 ドラマプロデューサー


- Update:
- 2025.05.05
佐野亜裕美、ドラマプロデューサー。東京大学教養学部卒業後、2006年TBSテレビに入社。2011年S Pドラマ『20年後の君へ』でプロデューサーデビュー。『ウロボロス』『99.9 刑事専門弁護士』『カルテット』『この世界の片隅に』などをプロデュース。2020年関西テレビに移籍し『大豆田とわ子と三人の元夫』『エルピス〜希望、あるいは災い』、業務委託でNHK『17才の帝国』をプロデュース。2018年エランドール賞プロデューサー賞、2022年大山勝美賞、2023年芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。
今回は番組5人目のゲストとして、ドラマプロデューサーの佐野亜裕美さんをお招きして録音された、#43収録の様子をご紹介します。
全8回に渡る佐野さんとの対談も最終回を迎え、番組恒例となった一緒に進めていく企画からお話はスタート。ちなみに番組2人目のゲストとして登場いただいた糸井重里さんとは互いの会社の顧問になる、というお話が交わされ、先日正式に契約が結ばれたとのこと。お互いに会社の顧問になり、そこで連絡を取り合う。特別な関係性が何とも糸井さんらしい提案でした。
佐野さんと林さん、ということでやはり話題にあがったのは、漫画✕ドラマ。佐野さんからは「ドラマ化ありきの漫画」を作るというアイデアを頂きました。従来の「漫画をドラマ化する」流れを逆転させ、あくまで全8話×45分のドラマ尺を前提に、コミックス6〜7巻相当のボリュームで物語を構築。
ドラマ前提の企画とすることで、物語の組み立て方やキャラクターも変わってきます。例えば、実写化した後の画の面白さをイメージして、現実世界の現代日本を設定の基本としつつ、なにか一つルールや設定が違うSF感のある作品などもキャッチーに機能しそうです。
編集者や漫画家などを主人公にした作品は世の中にある一方で、ドラマプロデューサーを主人公にした作品は少ないんじゃないかと林さん。調べてみると、海外作品ではちらほら見かけますが、日本で話題になったような作品でドラマプロデューサーが主人公の作品は少なそうです。
雑談や謝罪ばかりで「絵にならない」という要素も大きいのではないかと佐野さん。毎週打ち合わせの光景が描かれ、8割は苦しい打ち合わせの中、たまに光の見える会議もある。たしかに玄人好みな雰囲気のドラマになりそうではあります。
人と人が仕事について話すことは、前提としてストレスがかかるもの。時にイラッとしてしまったり、怒ったりしてしまう瞬間も。そんなお話から企画のタネが生まれました。本当は言い返したかった言葉を言えずに悔しさを抱えた主人公が、時間を巻き戻す力を使って、自分のストレスの元となった場面をやり直す物語。
「言い返したかった瞬間」というその場面までの物語がありそうで、かつ誰にでもある瞬間。恐らく万国共通にある感覚でもありそうで、幅広い層に刺さる作品になりそうです。
そんな流れから、ずっと使ってみたかったテーマとして「認知の歪み」があると林さん。作品を例にあげると『カメラを止めるな!』では、普通のゾンビ映画だと思って観ていたら、実は全てが劇中劇で映画後半にその制作の舞台裏が明かされ、そこで認知の歪みが明らかになるという構造。
劇場かテレビかで効果的な演出も変わる、配信ではドラマの話数の縛りも無い、そんなお話に至ったところで残念ながらお時間に。
収録の最後には、佐野さんからエピソード内でも何度か話題に上がったアシスタントについての情報が。募集を検討しているとのことで、興味のある方は佐野さんの公式Xをチェックしておいた方が良さそうです。また、来年2026年放送予定の連続ドラマの仕込みをしているとのこと。佐野さんの久しぶりとなるテレビドラマ、情報公開や完成を楽しみに待ちましょう!
エンディングでは、おなじみとなった番組プロデューサーの石井さんが登場。
林さんと佐野さんの対談を改めて振り返ってみると、話は縦横無尽に展開しつつ、最終的に本題に戻って来る印象も強く、二人の職種もあり喋って話を進めていく能力の高さを感じました。
漫画家と脚本家というアイデアをぶつけてくる人と打ち合わせる日々を過ごす二人ですから、もはや言うまでもなく話を聞き、相手の言いたいことを先回りしていくスピードが早く、聞いていると一瞬で過ぎていくようなテンポ感だったのが印象的でした。
そして次の対談ゲストが発表となりました。プロデューサーの山田兼司さんです!
最近では『百花』『怪物』『ゴジラ-1.0』『四月になれば彼女は』『ファーストキス 1ST KISS』など世界で評価される作品を作り続けるヒットメーカー。
実は林さんとお知り合いで、二人で飲みに行くほどの仲だそう。仲が良すぎてシラフの場がほとんどない、というお二人ですが、今回ばかりはノンアルコールで真面目にコンテンツやクリエイティブ、業界の現実など語っていきます。
次回、恒例となった林さんのソロ回を挟んでから、山田さんにはゲストとしてご登場いただきます。
ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。