#55 ダウ90000蓮見翔の真似できない脚本術とオン・オフの切り替え方

Update:
2025.07.28

蓮見翔 ダウ90000主宰・脚本家

Update:
2025.07.28

コント・演劇ユニット「ダウ90000」主宰、脚本家、演出家。1997年4月8日、東京都東久留米市生まれ。東京都立井草高等学校を経て、日本大学芸術学部映画学科卒業。大学在学中の2017年に前身グループ「はりねずみのパジャマ」を結成。2020年9月、現在の8人組「ダウ90000」を旗揚げ、すべての脚本・演出を手がける。第66・68回の岸田國士戯曲賞最終候補選出など演劇界でも高い評価を獲得。2023年にはForbes JAPAN 30 UNDER 30のENTERTAINMENT&SPORTS部門を受賞する他、2024年公開「AT THE BENCH」(奥山由之監督)では第2編で脚本を担当し注目を集める。2025年第7回演劇公演「ロマンス」では初めて全国4都市(東京・大阪・金沢・福岡)を回るツアーを開催。

収録レポート

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。

 

今回は番組7人目のゲストとして、コント・演劇ユニット「ダウ90000」主宰で、脚本家・演出家の蓮見翔さんをお招きして録音された、#55収録の様子をご紹介します。

まずは引き続き、ネタ・脚本作りの話題からスタート。前回、蓮見さんはネタ帳は準備せず、散歩中に浮かんだことをメモした後、それを台本にしているというお話が出ました。高校生の頃はその逆で、ネタにするわけではないメモをひたすら貯めていたそうです。

 

大学生になり劇団での活動など、実際に1日1本ほど台本を書くようになりますが、台本にする量よりも思いつく量の方が多かったとか。注目を集めるようになり忙しい生活が始まり、ネタをストックできなくなったことから、現在の書き方にシフトしたとのことでした。

 

忙しい日々と連続したアウトプット。自分の中で一度整地したいという蓮見さんですが、映画や漫画に触れるインプットに関してはそれほど重要視していないそうで、理由は作品に影響を受けすぎてしまうから。

現状、蓮見さんは特別に好きな作品がなく、それゆえ今の仕上がりがちょうど良い。研究やインプットの文脈で作品を見だすと、今のバランスが崩れ、伝わりづらい内容になってしまうのではという懸念があるそうです。

 

一方で、蓮見さんが積極的に収集しているのが、日常会話。日夜ファミレスなどで過ごしつつ、人の「普通」の会話を聞いているとか。「本人が面白いと思っていないところ」が一番のミソということで、蓮見さんの作品のリアル過ぎるやり取りの理由が少し見えた気がしました。

 

ダウ90000の単独ライブには、いわゆる作家さんが入っていないそうで、台本は完全に蓮見さん一人の手によって作られており、書いた作品がそのまま形になり世の中に出る状態。怖いと思う一方で、あえて壁打ちの役割も、業界とは関係のない人に任せているそうですが、これは初見の人に見てほしい・楽しんでほしいという蓮見さんの思いの表れ。

 

公演の前には稽古場で書いている蓮見さんと、それぞれ思い思いの時間の過ごし方をするメンバーという構図になっているとのことで、そんな自然体のメンバーの会話などからインスピレーションを受けることも。稽古場で台本を書く蓮見さんと、編み物やベイブレードに興じる7人のメンバーたち。このシチュエーション自体がもはやコントのようです。

売れれば売れるほど、自分たちを知らない人の一般的な感覚は手に入れづらくなるもの。作家さんを入れることにより玄人好みの内容は作れるかもしれませんが、それが一般大衆に向けた笑いに繋がっているのかは難しいテーマです。

 

ダウ90000の活動や脚本家としての仕事以外に、テレビ出演の数も増えている蓮見さん。テレビで顔を売ることによって劇場に来てくれる人も増えている印象があるそうで、テレビは広告と割り切って公演を最優先にとらえています。

 

また、蓮見さんの将来的な目標は、自分たちの劇場を持つこと。宝塚のような、地域と劇場とブランドの結びつきが深い劇場を作りたいようで、まだまだ先の話になりそうですが、いつの日か武蔵小金井に新劇場が誕生する日が来るかもしれません…!

番組後半では番組でも何度か話題になっている、林さんの働き方と私生活のお話に。おにぎりを買い忘れたという理由のみで、昼から23時頃まで何も食べずに過ごしたと言う林さんに、蓮見さんから「一つも意味わかんないですからそれ」とツッコミが入ります。

 

楽しかった一日は?という質問に、年に一度の家族旅行と答える林さんでしたが、熱心なリスナーの方なら御存知の通り、旅行中も朝夜はリモートで仕事をしていたことが明らかに。一方の蓮見さんは散歩して、銭湯に行って、蕎麦を食べて、ゲームセンターに行って帰るという、THEオフのような時間を過ごしています。

 

自分は普通だ、と主張し続ける林さんでしたが、どうも全ての言動の奥に異常性が見え隠れしてしまう一幕となりました。仕事柄、読書や映画、観劇も全てがインプットとなってしまう問題。クリエイティブに関わる人ほど、実益に全く関わらない趣味を作るのは難しいのかもしれません。

 

次回は蓮見さんの賞レースに対する考え方や、コントと漫才の違い、テレビにおけるキャラクターの確立など

更に興味深いお話が展開されていきます。

 

ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。