#58 追いきれない!コンテンツ過多時代、バラエティ番組は何を観る?
- Update:
- 2025.08.18

蓮見翔 ダウ90000主宰・脚本家


- Update:
- 2025.08.18
コント・演劇ユニット「ダウ90000」主宰、脚本家、演出家。1997年4月8日、東京都東久留米市生まれ。東京都立井草高等学校を経て、日本大学芸術学部映画学科卒業。大学在学中の2017年に前身グループ「はりねずみのパジャマ」を結成。2020年9月、現在の8人組「ダウ90000」を旗揚げ、すべての脚本・演出を手がける。第66・68回の岸田國士戯曲賞最終候補選出など演劇界でも高い評価を獲得。2023年にはForbes JAPAN 30 UNDER 30のENTERTAINMENT&SPORTS部門を受賞する他、2024年公開「AT THE BENCH」(奥山由之監督)では第2編で脚本を担当し注目を集める。2025年第7回演劇公演「ロマンス」では初めて全国4都市(東京・大阪・金沢・福岡)を回るツアーを開催。

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。
今回は番組7人目のゲストとして、コント・演劇ユニット「ダウ90000」主宰で、脚本家・演出家の蓮見翔さんをお招きして録音された、#58収録の様子をご紹介します。
前回の収録から3週間の期間が空き、2回目の収録がスタート。この3週間の間に蓮見さんは、ダウ90000第7回演劇公演『ロマンス』のため大阪に2週間滞在。残りの1週間もほぼ収録などが入っていたそうで、相変わらずの忙しさのようです。
いまやプレミアムチケットとなっているダウ90000の演劇公演ですが、今回もチケットは即完、評判は大好評と感じざるを得ない勢い。これから配信用の編集があるとのことで、見に行けなかった方たちは続報を待ちましょう。
そんな話題から「配信」という形式についての話題に。独占配信か複数プラットフォームで全方位的にやるのか、どちらにもメリット・デメリットがあり、これはアニメにおいてもよく議論になるポイントだと林さん。独占はビジネス面で安心感がある一方、作品や原作の周知という観点では複数プラットフォームに分があるそうで、営業次第では海外配信サイトや航空機内プログラムへの展開も可能とのこと。
これからのクリエイターは販路の設計力が問われる場面が増えてきそうです。
作品の周知という話の流れからは、蓮見さんのフェリーでのエピソードが印象的でした。福岡までのフェリーの移動中、スマートフォンの電波も入らない船内のWi-Fiでのみアクセスできる漫画配信サービスが、すべて1巻しか読めなかったことに「めちゃくちゃムカついた」と蓮見さん。
林さんいわく、とにかく触れてもらうことを重要視した、導線の意味が強いようです。蓮見さんも結局何個か続きを自分で読んだとのことで、読者にストレスを与えつつも、マーケティングとしては大成功。短く切ったお試し版や、連休・移動といった余白に届く施策は、知ってもらう機会を最大化するうえで有効なのかもしれません。
2回目の収録ということで、「ネタの精度を上げる工夫は?」という、お馴染みとなったリスナーさんからの質問も紹介させていただきました。
蓮見さんは、会話の積み重ねで構成される漫才に比べ、コントはワンシーンを削る調整がしやすいと感じているようです。特に賞レース用では、泣く泣く削る決断も多いとのことでした。理想はブロックが見えすぎない一体的な構成で、そのためには劇場に立ってネタを叩き続けることが重要だと語ります。
一般論的に語られる「劇場を持っている吉本興業所属の芸人さんは賞レースに強い」という言説。単純に舞台に立つ回数が多いから練度が上がる、という話かと思いきや、蓮見さんは修学旅行生などのまっさらなファンではない層が見に来る文化が大きいと言います。
具体例として、ダウ90000が卒業祝いとして高校のホームルームで披露した7分ネタを録音し、反応の薄い箇所を削ったところ、ちょうど4分に収まり、のちに『ABCお笑いグランプリ』で披露した『ベランダ』というネタが良い形になったエピソードを紹介いただきました。自分たちのファン以外の素直な反応、というのはフィードバックとして非常に質が高いのかもしれません。
林さんの「お笑いの空気感を知るためには何を見ればいいのか」という問いに対し、蓮見さんが勧めるのは『M-1グランプリ』などの年に一度の大きな大会を起点に、一組を決めて一年追う、という見方。
同じ演者でも番組ごとにパフォーマンスは変わり、そこから自分の好みと相性の良い番組が絞れてきます。見逃し環境としてはTVerだけでなくU-NEXT、Hulu、FODなどにバックナンバーが入りやすくなり、タイムラインで話題のシーンが流通するという2025年。追いやすくなった、と捉えるか、追いきれなくて忙しい、と捉えるかは人によりそうです。
番組終盤になると、公演後の挨拶文化の話題に。我々一般人にはなかなか無い経験ですが、演者さんや関係者の方は公演やライブの後、今日の主役に一言挨拶をするために列をなす、という現象が起きているのです。
特に人気の公演では挨拶の列が長大化し、主催・来場者双方にとって負担になり得る一方、写真のSNS掲載が配信チケットの販売を大きく押し上げた実例もあるとのことで、ないがしろには出来ない文化。効率化のためのセカンドステージ案や、アイドルの握手会における「はがし」のような工夫も話題に上り、シン・楽屋挨拶を巡る議論となったところで、今回はお時間に。
次回は蓮見さんの仕事以外で興味のあることから、スマホ越しで見るようになった世界、林さんの子育て論など、幅広くトピックを横断しながら進んでいきます。
ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。