#59 仕事抜きで興味があることと、林士平が考える子どもの反抗期
- Update:
- 2025.08.25

蓮見翔 ダウ90000主宰・脚本家


- Update:
- 2025.08.25
コント・演劇ユニット「ダウ90000」主宰、脚本家、演出家。1997年4月8日、東京都東久留米市生まれ。東京都立井草高等学校を経て、日本大学芸術学部映画学科卒業。大学在学中の2017年に前身グループ「はりねずみのパジャマ」を結成。2020年9月、現在の8人組「ダウ90000」を旗揚げ、すべての脚本・演出を手がける。第66・68回の岸田國士戯曲賞最終候補選出など演劇界でも高い評価を獲得。2023年にはForbes JAPAN 30 UNDER 30のENTERTAINMENT&SPORTS部門を受賞する他、2024年公開「AT THE BENCH」(奥山由之監督)では第2編で脚本を担当し注目を集める。2025年第7回演劇公演「ロマンス」では初めて全国4都市(東京・大阪・金沢・福岡)を回るツアーを開催。

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。
今回は番組7人目のゲストとして、コント・演劇ユニット「ダウ90000」主宰で、脚本家・演出家の蓮見翔さんをお招きして録音された、#59収録の様子をご紹介します。
今回もリスナーさんから頂いたお便りの紹介からスタート。「仕事以外で一番興味のあることは?」という質問に対して、蓮見さんはギターと即答。お父様がギタリストということもあり、あえて避けていたような面もあったそうですが、演劇と音楽は切っても切れない関係であり、家族で出かけた際についに1本購入されたとのこと。
「出会いだから、目に入って良いと思ったものを」と背中を押され、後日には、お父様が使っていないアンプ一式を自宅まで届けてくれたという、何ともほっこりする流れ。「おもちゃだと思って遊べよ」という一言も、蓮見さんのお父様だなと妙に納得感のあるエピソードでした。
ただ、執筆期はまとまった練習時間が取りづらいという悩みも。毎日5分でも触る、音楽仲間に時々見てもらうといった方法でなんとか継続しているそうで、ダウ90000や蓮見さんの活動でギターが交わってくる世界線もあるかもしれません。
一方、林さんの興味の対象は「メモのやり方」とのこと。仕事以外の話ですよ!と総ツッコミが入りつつ、林さんの飽くなきメモへの探究心について教えていただきました。
長年ツールを乗り換え続け、Evernote、iPhoneのメモ、付箋、Notionと変遷した末、最近はマークダウン方式で書けてリンクやタグで思考を結べる、「Obsidian(オブシディアン)」にハマっているそうです。マークダウンでテキストを管理して、フォルダリングやAIを使った要約など、カスタマイズ性の高いサービスで、2025年に入って話題になってきている印象です。
日々の出来事をデイリーノートにひたすら書き出し、後で結び直すことで自分の興味の濃淡が見えてくる、という使い方をしているそうで、そのために数ヶ月データを貯めているのすら楽しそうな林さんでした。
そんな流れから、話題は記録と体験のバランスについてへと移っていきます。
林さんは、スマホがなかった時代の映像を見て、誰もスマホを構えていない様子に“良さ”を感じたそう。スマホを手に持って撮ることによって、その体験が画面越しになってしまっているのではないかという、現代を生きる我々全員に刺さる問いかけも。確かに、花火大会に行っても、多くの人が見つめているのはスマートフォン、というのは寂しいものがあります。
卒業式の前日にギター一本で歌が始まって輪が広がる動画や、RIP SLYME『熱帯夜』のミュージックビデオを真似て学生たちが学校を練り歩く動画など、その瞬間だけの体験を前に、あえて撮らない選択の価値が語られました。二度と戻れない瞬間だからこそ、映像や画像に残したい。一方で二度と戻れないからこそ、全力で体験すべき。リスナーの皆さんはどちら派でしょうか。
二度と戻れない瞬間といえば、学生時代が想起されますが、絶賛子育て中の林さんは「最後の瞬間」を恐れていると言います。
「最後のハグ」「最後のほっぺへのキス」「最後に手をつないでくれる日」をいつ迎えるのかという父のドキドキ。一方で蓮見さんからは、映像を撮ってしまったらそれが「最後」としてラベリングされてしまい、子どもからしたら二度とハグできなくなってしまうという指摘もありました。
反抗期との向き合い方では、親が理屈で詰めすぎないこと、子が安心して反抗できる環境作りも必要かもしれないというお話も。心理学的には反抗期はあった方がいいらしい、という情報から、「もし反抗されたら喜んじゃうかもしれないですよね」と林さん。
「早めに動け!統計学からズレろ!」という蓮見さんから、林さんのお子さんへのメッセージ。ここにしっかりと記させていただきます。
思った通りにならないのが子育て、という結論めいた実感も共有されました。うまく育てようと肩肘張らず、生きて、食べていけて、楽しそうならそれでいい、というのが林さんの今のところの体感のようで、最後には全員がほっこりする珍しい展開となったところでお時間に。
次回は蓮見さんの脚本の書き方から、演劇における舞台の使い方、演出論など、また違ったお二人の熱い対談が繰り広げられます。
ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。