#62 寮長・林士平が明かす「MANGA APARTMENT VUY」誕生秘話と空間づくりのこだわり
- Update:
- 2025.09.15

林士平 漫画編集者


- Update:
- 2025.09.15
林 士平(りん・しへい)漫画編集者。2006年、株式会社集英社に入社。「月刊少年ジャンプ」「ジャンプSQ.」の編集者を歴任し、現在は株式会社ミックスグリーン代表取締役・「少年ジャンプ+」編集部員。現在連載中の担当作品は『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』『HEART GEAR』『ダンダダン』『幼稚園WARS』『BEAT&MOTION』『ケントゥリア』『おぼろとまち』『さらしもの』『クニゲイ~大國大学藝術学部映画学科~』。過去の立ち上げ作品は『青の祓魔師』『この音とまれ!』『ファイアパンチ』『怪物事変』『左ききのエレン』『地獄楽』『カッコカワイイ宣言!』『ルックバック』『さよなら絵梨』他多数。また、アニメ・舞台・イベントの監修やプロデュース、アプリ『World Maker』企画なども手掛けている。

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。
今回は林士平さん1人での収録となった、#62収録の様子をご紹介します。
実は楽しみにしているとの声が多い林さんのソロ回(=番組P石井さんとの二人回)。まずは2ヶ月にわたってお送りしてきたダウ90000蓮見翔さんとの対談でまとまった、雑誌企画『東京』のお話からスタート。「今まで見たことの無いカルチャー雑誌」というお話でしたが、実際にどのように展開していくのでしょうか。
#45~#52にゲストでいらっしゃった山田兼司さんとの短編映画企画も少しずつ動き出しているようです! まだまだかなりの時間はかかるかと思われますが、ぜひ続報をお待ちください。
さて、今回はスタジオを飛び出して、林さんが寮長を務めている都内某所の『MANGA APARTMENT VUY』から公開収録形式でお送り。番組内でも何度か話題になっている、期待の若手作家さんのために設けられた、入居・生活にかかる費用は全てサポートされる、まさに「マンガアパートメント」な施設となっています。
もちろん普段は外部の人は入れない漫画に集中出来る環境となっていますが、今回は特別にご協力いただき、リビングスペースにて収録を行わせていただきました。大きなモニターとソファーが並ぶ居住者の憩いの場となっており、様々なDVDやサブスクの視聴環境も整っています。
隣には「ボイドラウンジ」と呼ばれるエリアもあり、解放感のある吹き抜けで漫画を筆頭に1万冊規模の蔵書が…! 青年向け・少年向けなどのジャンル分けはもちろん、短編集や読み切りなど、求めるインプットに合わせて細かくセクションを分けた配架がされているのも特徴。
良質なアウトプットを生み出すためにはまずインプットから、という意識が徹底されているように感じました。
大まかな紹介が済んだところで、そもそもなぜこの施設を作ろうと思ったのか、という話題に移ります。林さんは、漫画家が漫画家を諦める瞬間を多く見てきて、そのだいたいはお金の問題だと語ります。漫画家が生活のためにフルタイムで働くと、創作に割ける時間が減り、やがては筆を置いてしまう。
こうした状態を防ぐ手段として、1〜2年創作に集中できる環境を用意できれば何かが変わるのではないか、という思考実験が背景にあったと言います。確かに理想的な環境に思えますが、実際に運用にこぎつけたのは、林さんの並々ならない熱意があったからに違いありません。
そんな流れから、林さんとともにVUYのプロジェクト進行に携わり、イナフラのヘビーリスナーでもあるというディレクターの堀田さんにも参加していただくことに。食事会で話を聞いたことがキッカケで、わずか2年で実現にまでこぎつけたそう。とんでもない速さと実行力です。
そんなスピード感の中でも、様々なこだわりを持ってVUYを立ち上げたお二人。こだわりの一つがお風呂で、ぜひホームページ(https://vuy.jp/Media)で写真を見ていただきたいのですが、まるで旅館にあるようなヒノキ風呂。クリエイティブのアイデアが出やすいのは入浴時、という話から、こだわりのお風呂を作ろうと決めたとか。
運用にあたり保健所の許可が必要で、町の銭湯と同じ基準で運営しているとのこと。1日1時間の清掃と、週に1度長めの清掃を除き24時間入浴可能で、住人の中には1日に3~4回入っている人もいるとか! 良いアイデアのためには良いリフレッシュも必要不可欠。確実に創作活動に良い影響を与えていることでしょう。
また、1万冊超の蔵書について、当初は全て購入を検討していたものの、VUYという取り組み自体に共感した企業パートナーが現れ、運用と定期的な書籍の入れ替えを支援する形に発展したとの裏話も。林さんの思考実験からここまでの拡がり。やりたいことをアナウンスし続けることは、大きなプロジェクトを前に進めるためには必須条件なのかもしれません。
堀田さんから、リスナー視点からのイナフラ評を聞いていったところで今回はお時間に。
次回のイナズマフラッシュもVUY特別編。実際に生活している作家さんの声も伺いつつ、より林さんの想いや考えを知ることの出来る回となっています。また、現在MANGA APARTMENT VUYでは2026年4月入居開始となる第二期生を募集しています。応募は2025年9月30日(火)23:59まで。詳細は公式サイトをチェック!
ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。