#63 身近な人が明かす林士平の素顔

Update:
2025.09.22

林士平 漫画編集者

Update:
2025.09.22

林 士平(りん・しへい)漫画編集者。2006年、株式会社集英社に入社。「月刊少年ジャンプ」「ジャンプSQ.」の編集者を歴任し、現在は株式会社ミックスグリーン代表取締役・「少年ジャンプ+」編集部員。現在連載中の担当作品は『SPY×FAMILY』『チェンソーマン』『HEART GEAR』『ダンダダン』『幼稚園WARS』『BEAT&MOTION』『ケントゥリア』『おぼろとまち』『さらしもの』『クニゲイ~大國大学藝術学部映画学科~』。過去の立ち上げ作品は『青の祓魔師』『この音とまれ!』『ファイアパンチ』『怪物事変』『左ききのエレン』『地獄楽』『カッコカワイイ宣言!』『ルックバック』『さよなら絵梨』他多数。また、アニメ・舞台・イベントの監修やプロデュース、アプリ『World Maker』企画なども手掛けている。

収録レポート

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。

今回は前回に引き続き『MANGA APARTMENT VUY』からの公開収録となった、#63収録の様子をご紹介します。

まずはリスナーさんから頂いた「自分より年齢の低い世代の流行りをどのように調べているか」というお便りの紹介から。職業柄、若い作家さんと関わる機会が多く、何を見て何が面白かったか、直接聞くことが多いという林さん。たしかに世代間ギャップどころか、常に最新の情報を得ている印象です。

続いて「チェンソーマン レゼ編」の主題歌が、米津玄師さんと宇多田ヒカルさんに決定したことへの率直な感想を教えてください」というお便りも。超人気タイトルと国民的なアーティストのコラボということで、大反響に林さんも「本当にめちゃくちゃ嬉しかった」と語ります。

関係者向けの試写を観たところ、オープニングもエンディングも完璧な楽曲だったとのこと。これを読んでいる方は既に見た方もいらっしゃるかもしれません。ぜひ感想をメールでお送りください!

「漫画製作のデジタル化によって参入のハードルが下がった一方、素材頼りの作画になり、絵の魅力が薄れた気がする」というお便りには、デジタルツールで抑えたカロリーを、ネームなどの本当にこだわりたい部分に割けるのであれば良いのでは、と林さん。便利は正義ではある一方で、コロナ禍をきっかけに作家さんとアシスタントさんが集まる場が失われたことの寂しさが話題に上がります。

価値観や作り方の意見交換はもちろん、空間を共有しているからこその雑談や熱量の伝播、そこで生まれる嫉妬や焦りなど、オフラインの環境だからこそ起こった成長もあったはず。確かにコストは下がり、便利にはなったかもしれませんが失ったものもあるのかもしれません。

そういった場の重要性を感じたことも、VUY立ち上げの背景にあるそうです。デジタルの力で、楽が出来るところは楽をしつつ、必要な部分にしっかりとカロリーを割いて欲しい。林さんの想いと熱量が伝わってくる一幕となりました。

番組中盤からは、せっかくのVUY収録ということで、現場にいるメンバーの皆さんにもマイクを向けさせていただきました。突然の来訪にも関わらず、ありがとうございます!

まずはVUYスタッフであり、漫画家のうえはらけいたさん。入居応募の際に「何かしらの形で関わりたい」と備考欄に書いた縁から、棚の整理や講習セッティングなど運営を担いつつ、合間に自分の制作も進めています。なんとハガキ職人で、イナズマフラッシュのリスナーでもあるそう。うえはらさん自身のポッドキャスト番組『脳内デブリ』をやっているとのことで、漫画家さんが自ら発信することの難しさなど深い話にも。

続いて、林さんが代表取締役を務める、株式会社ミックスグリーン社員の森田さんにも登場して頂きました。担当編集としてVUYメンバーの皆さんと関わるのはもちろん、林さんのアシスタントとして秘書的な業務を行うこともあるそう。

移動の合間に素早く食事を済ませる際のエピソードや、林さんが社員からもらった誕生日プレゼントをオフィスに置きっぱなしにしていた話で現場は笑いに包まれます。かなり忙しい毎日を過ごしているであろうにも関わらず、チームとしての風通しの良さ、健やかなムードを垣間見た「幸せ」な時間でした。

実際に入居されている、VUYメンバーのフセキさんからは生活の変化を教えていただきました。一番大きかったのは漫画を描く時間の大幅な増加。VUYに入居する前は、フルタイム勤務に土曜出勤が重なる環境で、帰宅後に仮眠して深夜に3時間だけ描くというハードなサイクルを継続していたとか。割ける時間の少なさから、1作品に1年ほどかかっていたそうです。

こだわりのお風呂が健康の要になっているという話や、共同フロアには深夜でも作業をしている居住者がいて、それが強い刺激になっているという話など、漫画に集中できるVUYの環境の魅力も教えていただきました。

そんなMANGA APARTMENT VUYは2026年4月入居開始の第2期生を募集しており、応募締切は9月30日。アマチュア・プロ問わず応募可能となっています。施設の充実度合いは言うまでもありませんが、その雰囲気の良さとメンバーの皆さんの空気感もとても良いように感じました。興味のある方はぜひ公式HP(https://vuy.jp/)をチェックしてみてください!

次回から登場いただくゲストは、テレビプロデューサーの佐久間宣行さん。世界を相手にアウトプットを届け続けるトップランナーの二人の対談は、どんな展開となるのでしょうか。

ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。