#75 TaiTan流 企画を生み出す思考法
- Update:
- 2025.12.15
TaiTan ラッパー


- Update:
- 2025.12.15
1993年生まれ。「Dos Monos」のラッパー。クリエイティブディレクターとしても活動し、¥0の雑誌「magazineⅱ」やテレビ東京停波帯ジャック番組「蓋」、音を出さなければ全商品盗めるショップ「盗」、Shureとのスニーカー「IGNITE the Podcasters」のほか、ロッテのウェルネスブランド「THE DAY」なども手がける。ポッドキャスト番組「奇奇怪怪」やTBSラジオ「脳盗」ではパーソナリティもつとめる。
イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。
今回は番組9人目のゲストとして、ラッパーでクリエイティブディレクターのTaiTanさんをお招きして録音された、#75収録の様子をご紹介します。

番組冒頭から、TaiTanさんの思考のずらし方、転換の仕方が気になるという林さん。コロナ禍が終わり、余ってしまったアクリル板でCDを作ったり、スニーカーや水をプロデュースしたりと、そのアイデアの幅は多岐にわたります。その根底に一貫しているのは、「日常にありふれているものを、どうやったら面白いものに変えられるか」という視点。
例えば、#74でも話題となった全商品盗むことができる体験型ショップ「盗-TOH-」。これは、ラジオの古典的なプレゼントキャンペーンが持つある種のダサさや、SNSでのリポストするときの恥ずかしさという負の感情から出発しているそう。「THE DAY」に関しても、同じくラベルレスの水を飲むことに関する引っ掛かりがキッカケとなっています。
自分が嫌だったり、違和感を持った瞬間こそ強くインプットされる。その感覚をポジティブに変換していくイメージだとか。負の感情を活かした発想がそこにはありました。

また、#73にも話題に上がった、停波帯をジャックして1ヶ月間自分たちの曲で埋め尽くす、『蓋』という企画はDos Monosのアーティスト活動がキッカケ。100万再生が当たり前の風潮や、リッチな映像表現を強いられる昨今のミュージックビデオが置かれている状況に対しての違和感から、テレビの停波帯を活用するアイデアに繋がっていきます。
メディアに出始めた頃、自分自身の顔写真を見て「こいつの顔クリックしたくなんないな」と客観視した経験から、自身とペルソナ、つまり飯塚さんとTaiTanさんを意図的に切り離しているというお話も、非常に興味深いものでした。表現活動など一気通貫して、飯塚さんがTaiTanさんを作っていっている感覚があるとのことで、切り取られる時代である現代では、自分自身とキャラクターが一致してしまっている方が危険なのかもしれません。
一方で、TaiTanさんは、ラッパー、ポッドキャスター、そしてクリエイティブディレクターなど様々な性質を持ち、活動は多岐にわたっています。ラップ、ポッドキャスト、そして企画の仕事。これらは「全部言葉をスピットしてるだけ」で全領域、本質的には同じことをやっているとTaiTanさん。
ラップはラップの言語で、ポッドキャストは2時間の長尺の喋りで、企画はプレゼンテーションで。どういう回路で相手に届けるかが違うだけであり、「今目の前の人をテンション上げてもらえるかどうか」のみを強く意識しているとのことでした。

番組中盤では、TaiTanさんから林さんに、その常人離れした仕事量に対するツッコミが入る展開も。現在、約100人の作家さんとやり取りしている林さん。仮に月に100本のネームが上がってきた場合どうするのか、という問いに対し、林さんが「1本1時間として、100時間なんで出来るんですよ」と即答。人間なんでこっちは!というTaiTanさんのリアクションにも頷けました。
そんな超人的なスケジュールの中、インプットを欠かさない姿も明らかになります。TaiTanさんは、まだ林さんと親しくなる前、渋谷の映画館に『チャレンジャーズ』を観に行ったところ、偶然にも目の前の席に座っていた林さんを発見したと言います。多忙な中でも時間を見つけて、しっかり映画館に足を運びコンテンツと向き合う。その圧倒的なインプットへの向き合い方が、圧倒的なアウトプットに繋がっているのでしょう。

お話は、2025年においてコミュニティを持つことの重要性についてへと展開していきます。TaiTanさんはPodcast『奇奇怪怪』発の思考と制作の拠点である「品品団地」というコミュニティを運営中。旧来のXやYouTubeなどオープンな場所ではなく、検索されないクローズドなDiscordサーバーなどに価値があると言います。
ファンの属性上、既にSNSにはおらず、心理的安全性が保たれたコミュニティこそ、熱量を高く保つための最適な形式だったのかもしれません。また、決済機能なども含めてゼロから構築したというこだわりからは、自身が関わるアウトプットへの並々ならぬ情熱を感じたところで、前半の対談はお時間に。
ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。