#02 糸井重里さん対談まとめ

Update:
2024.11.03

対談まとめ レポート

Update:
2024.11.03

このページでは、各ゲストと林士平さんの対談の内容を、トピックごとにまとめて掲載しています。全8回の対談終了後、二人が話してきた内容や話題に上がった作品を振り返りながら、トップランナーの脳内を覗き見しましょう!

収録レポート

今回はイナズマフラッシュ収録レポート特別編!

ゲストほぼ日代表の糸井重里さんでお届けした、全8回をトピックごとに振り返っていきます。

 

  • 出会いと関係性

 

コピーライターと漫画編集者。

糸井さんと林さんの関係性は、「ほぼ日の學校」での対談の1回のみ。もっと深く話してみたいということで、ゲストに来ていただきました。

 

2人とも職種に囚われることなく、マルチに活躍し続けるクリエイターということで、様々なトピックを行き来しながら、クリエイティブに関する話題で盛り上がりました。

 

  • コピーライター糸井重里の原点

 

大学を中退した糸井さんは、コピーライター養成講座に通い始めます。

工事現場のアルバイトなども経験しますが、焚き火の際に気付いたら燃やす新聞紙や雑誌を必死に読んでいたというエピソードが表す通り、やはり文字が好きなんだという結論に。

 

漫画家を本気で目指したこともありましたが、小説などと違い、答えが近くにある気がするという理由からコピーライターへの道を決意します。

 

最初に入った会社では、教えてもらうはずだった先輩がすぐに辞めてしまったり、借金取りからの電話を取ったりと順風満帆とは言えないスタート。その会社も数年で倒産してしまったことから、なしくずし的にフリーランスのコピーライターに。

 

喫茶店で出会い仲良くなった人から仕事を依頼されたり、タクシーの運転手にラーメンを奢ってもらったり、「採用されないけど面白い企画」を考える仕事だったりと一風変わったエピソードもたくさん飛び出しました。若手時代の糸井さんが放っていた、「この人と何かやってみたい」という魅力は相当なものだったのでしょう。

 

あまりの惹きつけ力に、林さんからは「当時の東京の喫茶店はそういう場所だったんですか…?」という疑いすら飛び出すほどでした。

 

  • あのプロジェクトの裏側

 

数々のプロジェクトに関わり、マルチに活躍してきた糸井さん。

ここでは番組の中で、裏話を教えていただいたプロジェクトについて幾つか振り返っていきます。

 

矢沢永吉激論集 成りあがり How to be BIG

 

雑誌Rolling Stone Japanにて、コネもなく、ライブのチケットや取材の予約も一切していない状態から、コンサートの場所を調べ、テープレコーダーだけ買って単身沖縄に飛び、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの宇崎竜童さんに取材を敢行した20代の糸井さんの原稿は、『GORO』編集者・島本脩二さんの目に留まり、矢沢永吉さんのルポルタージュの依頼が舞い込みます。

 

ライブ会場ではエキサイトしたファン同士が殴り合うようなこともあった、当時のロックと矢沢永吉という存在。糸井さんはまさに四六時中密着し、会話をかわしながらルポルタージュとして取材を続けていきます。

 

「どんなにため口であろうが親しくなろうが、僕は永ちゃんのちょっと子分なんですよ。」という言葉が非常に印象的でした。

 

『成りあがり』は大ヒット。社会現象となり、より熱狂的な「永ちゃんブーム」を巻き起こしました。

 

・映画となりのトトロ

 

新潮文庫での仕事から、『火垂るの墓』と『となりのトトロ』のコピーライティングを担当することになった糸井さん。

 

火垂るの墓「4歳と14歳で、生きようと思った」

となりのトトロ「このへんないきものは、まだ日本にいるのです。 たぶん。」

 

どちらも歴史に残る名コピーとして語り継がれています。

 

また、当時6歳のお嬢さんを連れてジブリに遊びに行った糸井さんに、「こういうのがお父さんなんだ」と宮崎駿さんが思ったことがキッカケで、お父さん(草壁タツオ)役の声を担当することに。ここでも糸井さんの、良い意味での巻き込まれ力が発揮されていました。

 

・ゲームMOTHER

 

今でもたくさんのファンが愛する『MOTHER』シリーズ。

テレビ出演でゲームに関する発言をしたことがキッカケで任天堂へ。10枚にも渡る手書きの企画書をあの伝説のゲームクリエイター宮本茂さんに見てもらう機会に繋がります。

 

企画書を書いたキッカケは「自分がやりたいと思ったから」という糸井さん。忙しいと思われていた当時ですが、開発スタッフの部屋に何度も行き来して膨大なシナリオを書き上げていきます。

 

独特のセリフや世界観が特徴の『MOTHER』。本編で語られた開発チームの雰囲気や過ごした日々は、仕事仲間と友だちがイコールになるほどの密度でした。組織論やチームビルディングが語られ始めるずっと前から、糸井さんは心理的安全性の高いチームづくりを意識して、クリエイティブと向き合っていたのです。

 

  • 興味がある程度では済まされない漫画

 

10,000年以上前から存在するとされる世界遺産、アルタミラ遺跡壁画も漫画じゃないですかと糸井さん。改めて漫画に注目する理由や可能性について語っていきました。

 

林さんの漫画の定義は「絵と言葉で物語とキャラクターを描いているもの」。そう考えてみると壁画からアニメまで、漫画という大きな枠に収めることもできそうです。

 

更に日本語という特殊な言語についても話題は及びました。音を表す表音文字であるひらがな・カタカナと、単体で意味と発音両方を示す表語文字である漢字の2つが混在する日本語。ここにルビという概念が加わることで漫画の情報量は飛躍的に増加。

 

津田さん回で話題に上がった、『遊☆戯☆王』で言うところの「滅びの爆裂疾風弾(バーストストリーム)」のように漢字とひらがな、ルビが重なることで読者により鮮明なイメージを抱かせられるのかもしれません。

 

更に属人性の高さも漫画の特徴。アニメやドラマ、映画など多くのコストと人数をかけて制作されますが、漫画は基本的に1人が作り上げるもの。もちろん編集者や出版元、アシスタントなど関わる人数は居ますが、アイデアがそのままの形で世の中に出やすいという特徴は、メガヒットが出る一つの理由として挙げられそうです。

 

  • やさしく、つよく、おもしろく。

 

株式会社ほぼ日の行動指針として表されている言葉。

各エピソードにおいても、少しずつ糸井さんの信念や大切にしていることを聞くことが出来ました。

 

日常から「こういうのやればいいのに」というアイデアがストックされているという糸井さん。様々なプロジェクトにある種部外者的に入っていくそのスタンスが、斬新なアウトプットと圧倒的な結果を生んできました。もしかしたら、倒産ギリギリの会社で1人で何とかしていかなければならず、様々な工夫を凝らすことが当たり前になった経験が生きているのかもしれません。

 

ただし、仕事はおもしろいだけでは進まないもの。登る山が見えている場面ではどこか厳しい視線を持って、つよく引っ張っていかなければいけない瞬間もあります。誰かが危ない状況に気づき、対応策を決定しなければいけません。

 

やさしいのは大前提。人間は遺伝子レベルで助け合わないと生きていけない生物であり、助け合ってきたからこそ現代まで種を繋いでくることが出来ました。仕事においても、高圧的だったり、否定から入ったりするコミュニケーションは人を萎縮させ、良いアイデアやアウトプットに繋がらないと言われています。

 

2017年に上場している株式会社 ほぼ日。株式会社という形態を使って、面白いアイデアを強く成立させながら、社員や取引先に優しく居たいという糸井さんの想いが反映されていると感じました。

 

  • 番組内で顧問契約が成立!

 

#17では糸井さんから、林さんとの相互の顧問契約のアイデアを頂き、早速成立するという展開となりました。

 

糸井さんは漫画に関わる職業が漫画家しか無いことに疑問を持っているそう。デザイナーのように社内に漫画を描く、漫画部を立ち上げたい!とアイデアを頂きました。これだけ漫画が一般化された現代であれば、会社に何人か漫画担当が常駐する時代も近いのかもしれません。

 

番組内でも少し語られていますが、とんでもない量の仕事を物凄いスピードで対応しながら、子育てもしている林さん。その仕事術やタスク管理に、手帳やメモ帳といったアナログツールが、今ひとつ納得していない様子。

 

どのような形になるのか、糸井さんと林さんのコラボレーションを楽しみに待ちましょう!

 

今回は簡易的にですが、ゲストほぼ日代表 糸井重里さんでお届けした、全8回をトピックごとに振り返っていきました。

 

個人的に印象的だったのは、糸井さんの興味範囲の広さとその考えの柔軟さでした。

 

論語や壁画といった歴史的な創作から、俳句や漫画といった現代的な範囲までをチェックし、純粋にそれを面白がる姿勢。1948年生まれとは到底思えない前のめりでポジティブな姿勢から、たくさんの愛され続ける作品を生み出してきた秘密が少しだけ分かったような気がします。

 

糸井重里物語と称しても遜色ない、伝説的な話の数々。2024年に収録しておいたことが貴重になるような二人の対談となりました。

 

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