#04 風間俊介さん対談まとめ
- Update:
- 2025.03.09

対談まとめ レポート


- Update:
- 2025.03.09
このページでは、各ゲストと林士平さんの対談の内容を、トピックごとにまとめて掲載しています。全8回の対談終了後、二人が話してきた内容や話題に上がった作品を振り返りながら、トップランナーの脳内を覗き見しましょう!

今回はイナズマフラッシュ収録レポート特別編!
俳優の風間俊介さんとお届けした、全8回をトピックごとに振り返っていきます。
- 出会いと関係性
実は昔からの友人でありながら、最近は忙しいこともあってあまり会えていなかった二人。いつもは食事会として開催されることが多かったそうですが、今回は初めてお仕事という形で話すこととなり、これまでのイナズマフラッシュとは一味違った展開に。
年齢が近いということもあり、様々なコンテンツで盛り上がった二人。#32ではお便りを読むのを忘れ、ひたすらゲームの話に没頭する一幕もありました。
- 偉大な作品『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』
そんな二人が出会ったのは16-7年ほど前。風間さんがアニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』にて、主人公の武藤遊戯役を務めていたこともあり、集英社繋がりで林さんと連絡先を交換したことがキッカケ。
改めて、偉大かつ時代を象徴するような作品のであるアニメ遊戯王。番組初のゲストとして登場いただいた、津田健次郎さんとともに、多くの子どもたちに遊戯王を届けてきた風間さん。最近では「遊戯王を見て育ちました!」と声をかけられることも多くなってきたとのこと。
2000年4月18日から2004年9月29日まで放送されていた本作。ちょうどこの時代を小学生〜中学生で過ごした世代が、30代になり風間さんとお仕事で出会えるようになったということでしょう。今でも愛され続ける作品である『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』が与えた影響の大きさを感じるエピソードでした。
- 漫画を愛する二人
林さんはもちろん、風間さんの漫画愛も凄まじいものがあり、二人の漫画トークは男子校の昼休みのような熱さと愛に溢れていました。何作品かピックアップして振り返っていきます。
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- 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』
秋本治先生は週刊連載のプレッシャーの中、しっかりと土日休みで慰安旅行にも行けるスケジュールを組みつつ、ストックを準備していたそう。未来予知とも言えるその漫画の内容にも感服し続ける風間さんでした。1976年から2016年まで40年間、一度も休載することなく読者を楽しませ続けた『こち亀』。連載分で200巻という、後にも先にも現れないであろう伝説の作品となっています。
#03でも林さんが最後に生原稿を受け取った作家さんとしてエピソードに登場。原稿を持ち帰る時は流石に手が震えたそうで、事故ってでもこの原稿だけは届けるぞと覚悟を決めたとか。長年のキャリアがあり、大作家としての地位を手にしてなお、漫画を描くということを楽しみ続けていた様子が印象的だったと語られていました。
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- 『昭和元禄落語心中』
雲田はるこ先生による大ヒット作品で、第17回2013年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第38回(2014年度)講談社漫画賞一般部門、2017年第21回手塚治虫文化賞新生賞と受賞歴も多数。
関智一さん・石田彰さん・山寺宏一さんが主要キャストを務め、アニメーション作品ながら本格的な落語を演じきったTVアニメも大きな話題を呼んだ本作。物語の展開として名人級の落語が必要な作品でしたが、違和感なくやりきる声優としての矜持に圧巻だったと風間さん。
エピソードでも話題となったミュージカル化ですが、2月28日に初日を迎え、落語家さんも絶賛されるような内容になっているとか。アニメ化・ドラマ化・ミュージカル化と様々なクリエイターを惹きつける、物凄い魅力を持った作品です。
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- 『タッチ』
あだち充先生の代表作の一つ。双子の兄弟、上杉達也・上杉和也と彼らの幼馴染みの少女・浅倉南、3人の恋物語と成長を、高校野球を通じて描いた青春ストーリー。
二人が絶対に読み返したい漫画という話題で盛り上がった本作。
風間さんには、『タッチ』のなかでも、達也と南のやり取りから好きなシーンについて教えてもらいました。和也亡き後の明青学園野球部のエースを引き継いだ達也。高校2年生となり甲子園予選に挑むも、2回戦負け。夕陽に染まる川を眺めながら、昔和也も含めた3人でよく遊んだ場所だということが分かり…
「なに考えてた?」
「タッちゃんと同じよ。たぶん…」
「現在の世界情勢か」
「うん」
というシーン。互いに和也のことを想っていることは大前提として、わざとボケてみせる達也の優しさ。連載されていた1980年代では、スポーツ漫画にラブコメ要素が入ってくるのは珍しい構成で、ヒロインの「甲子園に連れて行って」という純粋な言葉で甲子園を目指すというのは衝撃的な内容でした。
- 風間さんを造形する3作品
愛すべき漫画は山ほどあるというのは前提としつつ、風間さんから自分を形作っているという3作品を教えて頂きました。
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- 『G戦場ヘブンズドア』
日本橋ヨヲコ先生による、人気漫画家の息子・堺田町蔵と、敏腕編集者の息子・長谷川鉄男が、それぞれ原作担当と作画担当として漫画家コンビを組み、漫画制作を通じて人間としても作家としても成長していく姿を描いた青春漫画ストーリー。
漫画界を舞台に思春期や青年期の様々な感情を内包しながら、そのある種の青臭さを泥臭いほど純粋に表現している本作。単行本では3巻と短い作品ですが、人生ナンバーワン作品に挙げる人も多い名作です。
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- 『不思議な少年』
山下和美先生による、時空を超える少年が、姿形、性別を変えながら人間と共に過ごし、時には観察者として人の様々な「生」と「死」を見守り、人間とはどんな存在かを考え続けるヒューマンドラマ。
オムニバス形式で大都市から南極まで、有史以前から現代まで、繰り広げられる様々な人間模様を描く本作。林さんが最も印象的だったというのが「第七話 レスリー・ヘイワードと山田正蔵」。人間に対して愛を持ちつつも常に冷静だった「少年」が、世界中の誰よりも熱く激しく動き回り「人類が誕生して最初で最後の奇跡の日」をつくります。それは「世界中で殺人が一件もなかった奇跡の日」だったのです。
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- 『ぼくの地球を守って』
日渡早紀先生による、現代日本に転生した異星人としての前世の記憶を持つ7人の男女を中心とするSF漫画で、通称「ぼく地球(たま)」。1986年末から1994年にかけて連載されており、前世や超能力が登場することもあり社会現象に。日渡先生が「フィクションである」とメッセージを出すほど、読者に刺さり、心を動かした作品です。
今回風間さんに挙げていただいた作品は、全て女性作家さんの作品となりました。林さんも風間さんもお姉さんがいらっしゃり、「マーガレット」や「りぼん」が身近にあったとのことで、少女漫画から少年漫画まで幅広く接する機会があったことも、二人の漫画好きに拍車をかけた要因かもしれません。
- 風間さんが漫画原作、林さんは俳優デビュー?
この番組のコンセプトの一つである、林さんとゲストがコラボする企画。風間さんには漫画原作のアイデアを頂きました。特に「才能の売買」というコンセプトの元、二人が話した#34は林さんの漫画編集者としてのスキルの一端を感じる内容に。
言語や楽器の才能をダウンロードできる世界で、手に入れた才能を育てて売ることで生計を立てている主人公、という風間さんのアイデア。
これに対して林さんが編集者として少しずつアイデアを拡張させていきます。能力バトルものは、魔法、忍術、呪い、霊能力など、能力がどのように発現するかで作品の見え方が変わってくるとのこと。
『HUNTER×HUNTER』であれば、生命エネルギー「オーラ」。『チェンソーマン』であれば「悪魔との契約」。『呪術廻戦』であれば「呪力」。それぞれ大筋のストーリーは、能力を使いながら敵と闘っていく作品ですが、能力のパッケージングが作品全体のコンセプトにかなり大きく影響を与えています。
さらに林さんからは「なぜ戦う、誰と戦う、というポイントが決まってくると企画っぽくなってくる」というアドバイスも。才能を育てていた主人公に目をつけた軍事産業組織に、兵器開発の才能を育てさせられそうになり、追手から逃げつつ成長しながら組織と闘っていく。そんなストーリーが本編ではものの数分で構築されていきました。
一方で風間さんからは「役者をやってみたいと思った瞬間は?」という質問が。風間さんいわく、今まで物語を作るお手伝いをずっとしてきて、キャラクターの機微に繊細でなければいけない仕事をしてきた林さんだからこそ、「やれますね」とのこと。
不思議な誘いと言いつつ、面白いですねと林さん。もしかしたら数年後、漫画原作を風間さんが務める作品の実写版主人公が林さん、なんて未来もあるのかもしれません。
今回は簡易的にですが、ゲスト俳優の風間俊介さんでお届けした、全8回をトピックごとに振り返っていきました。
個人的に強く印象に残ったのは、自然体な二人の会話のコンテキストの高さでした。
昔からの友人であることはもちろん、同じ時代を同じようなエンタメに熱中して過ごしてきた二人だからこそ生まれるテンポ感で進んでいった対談となりました。例えば二人のなかで『G戦場ヘヴンズドア』は超名作であり、『FINAL FANTASY VII 』がゲーム界の転換点なのはあたりまえ。
この番組にたどり着いているリスナーの皆さんからしてもあたりまえかもしれませんが、ベースとなるコンテンツへの知識とそれに対する愛、そして日本のコンテンツ産業を支えるプレーヤーとしての現状理解によって、早いテンポ感で進んでいく会話はとても聴き心地の良いものになりました。
更に#34では番組内でほぼ初めてとなる、林さんの漫画編集者として、実際のアイデアの拡げ方や整え方を感じられる一幕も。ここに関しても風間さんとの共通理解があるからこそのスムーズさで、あっという間に作品としての体裁が整えられていく様子は圧巻の一言でした。
林さんがゲストのお話を聞く、というパッケージである本番組ですが、風間さん回を通して林さんの考えや脳内も覗ける全8回となりました。
今後も様々なクリエイターや業界のトップランナーが登場する予定です。ゲストのお話はもちろん、林さんの漫画や企画へのアプローチの様子にも注目して聞いていきましょう!
ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。