#65 テレビマンの生き残り方とこれからチャレンジしたいこと

Update:
2025.10.06

佐久間宣行 テレビプロデューサー

Update:
2025.10.06

1975年生まれ。福島県いわき市出身。 テレビ東京のプロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「ピラメキーノ」「ウレロ☆シリーズ」「キングちゃん」などを制作。2019年4月からラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0」を担当。 2021年3月末にテレビ東京を退社しフリーに。Netflix「トークサバイバー」「罵倒村」「デスキスゲーム」 「LIGHTHOUSE」DMMTV「インシデンツ」YouTube「NobrockTV」「BSノブロック」は総登録者300万人。 著作に「佐久間宣行のずるい仕事術」「ごきげんになる技術」など。レギュラー番組「勝手にテレ東批評」

収録レポート

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。

 

今回は番組8人目のゲストとして、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんをお招きして録音された、#65収録の様子をご紹介します。

今回は冒頭から、ディレクター・プロデューサーの今の時代の生き残り方、という深いテーマでスタート。佐久間さんのキャリアを振り返ると、30歳頃に『ゴッドタン』を手掛けた際に、お金の流れ、番組作り、キャスティング、営業、スポンサー探し、DVD発売やイベント運営などを一通り経験したことが大きかったとのこと。

 

他の局では分業で行われているであろう業務を一人で上流から下流までやりきったことで、マネタイズして生き残る手段を理解できたのが、糧になっているそうです。そんな経験から、雑誌がネットに差し替わり、CDが配信に置き換わったように、いつか番組もそうなると感じていた佐久間さん。

 

配信に強く、ファンダムができるような番組を作ったほうが良いと思っていたそうです。そうして作られたのが、『ピラメキーノ』や『ウレロ☆シリーズ』であり、現在人気となったジャンルの番組。先を見て成長分野のディレクターとなっていたことが大きかったと語ります。

テレビという媒体のあり方が問われている昨今ですが、まだまだ国民の大勢に伝えられる媒体であり、その影響力は健在。一方で事業としての収益性・広告媒体としての価値という視点で考えてみると、これまで通りのやり方では難しい現状に悩んでいる若いディレクターも多いとか。

 

また、お笑い人気が長く続いている現状、テレビ業界に入ってくるディレクターもお笑いがやりたい人が多いそうですが、そこは既にレッドオーシャンの領域。佐久間さんの場合、20代の頃、お笑い芸人をメインに据えた企画を出すディレクターはテレビ東京にいなかったとのこと。

 

今年2025年に大きな話題となった『No No Girls』『timelesz project』などアイドルサバイバルオーディション番組なども、既にレッドオーシャンとなりつつあるジャンル。若手ディレクターに相談された際には「今からお笑いをやるということが、どういうことかは考えたほうが良いよ」と助言しているそうです。

話題は番組制作における現場の違いについてへと展開していきます。例えば『ゴッドタン』では毎回企画が異なり、同時に幾つかの企画が走っている状態となるため、幾つかのチームで臨んでいます。

 

一方で、『あちこちオードリー』のようなフリートークの番組では、キャスティングの後は、参考程度の資料やメモをMCの若林さんに渡すのみ。だからこそ、若林さんとは事前にキャスティングについて相談するようにしているそうで、信頼し合った一流の芸人とプロデューサーだからこそ出来る番組の空気感なのかもしれません。

 

そんな流れから、林さんから「どうしたら喋りとか回しって上手くなるんですかね」という質問。これに対して「ゲストが来た時は、まず最初にその人のファンのことを考える」と佐久間さん。

 

その人のファンであっても、聞いたことのない話を引き出すために、自らの悩みを開示したり、その人の仕事への感想を伝えたり。とにかくこの話を引き出せたら成功、という要素を前もって考えて臨んでいるとか。自己研究が済んでいる人は自己開示ができる、という考えも非常に印象的な一幕となりました。

佐久間さんが若手のタレントさんに言っているのが、自分が試されていると思って現場に臨むとだいたい失敗する、ということ。テレビという枠組みの中で、自分がどのように振る舞うのか、という視点は自己研究が必要な要素になってきそうです。

 

以前も話題にあがったように、林さんも何度かトーク番組に出演されていますが、普通の会話とは別世界のテレビ収録。隙間にコメントを差し込み合う環境であり、佐久間さんもニュースのコメンテーターの仕事はすべて断っているとのこと。普段私たちが何気なく見ているテレビですが、冷静に見てみると演者の方々のコメント力や即興力はとんでもない、ということに気付けるかもしれません。

 

次回は佐久間さんが今の道に進むことになった原体験や、子ども時代の話、テレビ東京への収録から若手時代のエピソードなど、佐久間さんとカルチャーの関係性に迫っていきます。

 

ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。