#66 エンタメ好きのルーツはおじいちゃん
- Update:
- 2025.10.13

佐久間宣行 テレビプロデューサー


- Update:
- 2025.10.13
1975年生まれ。福島県いわき市出身。 テレビ東京のプロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「ピラメキーノ」「ウレロ☆シリーズ」「キングちゃん」などを制作。2019年4月からラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0」を担当。 2021年3月末にテレビ東京を退社しフリーに。Netflix「トークサバイバー」「罵倒村」「デスキスゲーム」 「LIGHTHOUSE」DMMTV「インシデンツ」YouTube「NobrockTV」「BSノブロック」は総登録者300万人。 著作に「佐久間宣行のずるい仕事術」「ごきげんになる技術」など。レギュラー番組「勝手にテレ東批評」

イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。
今回は番組8人目のゲストとして、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんをお招きして録音された、#66収録の様子をご紹介します。
今回は、佐久間さんの原点である少年時代から、テレビ業界での若手時代のエピソードまでを伺いながら、その圧倒的アウトプットを支える、カルチャーへの深い造詣の源泉を紐解いていきます。
サブカル好きな母方のおじいさまが、読み終わった漫画を送ってくれることがあったのが原点というお話からスタート。『ドラゴンボール』や『キン肉マン』が流行っていた時代に、送られてきたのは『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。それが今の佐久間さんを作ったと語ります。
小学生の卒業文集に『こち亀』の両津勘吉の絵を描くほど夢中になり、後年、その絵を作者の秋本治先生にお見せしたところ、同じ構図の絵を描き返してくれたという衝撃的かつ心温まるエピソードも。
おじいさまからの供給は『こち亀』に留まらず、士郎正宗の初期短編集『ブラックマジック』へ。そこからSF作品、そして図書館で出会った倉本聰や山田太一などシナリオ全集へと、佐久間さんの興味はどんどん広がっていきます。過去の名作ドラマ、演劇、戯曲…。アニメとシナリオブックとミニシアターの映画が、後のクリエイターとしての素養を育んでいきます。
高校では部活に入らずアルバイトに精を出し、稼いだお金は全て映画・演劇・音楽へ注ぎ込む日々。東京のおじいさまに会うという口実で、東京まで演劇やライブを観に行くこともあったとか。
インターネットが無かった当時、福島県いわき市で育った佐久間さんにとって、東京はカルチャーの聖地。まだまだ東京と地方の文化格差は大きく、東京に居なければ触れられないカルチャーの存在は、佐久間さんの上京を後押しする1つの理由となりました。
東京のカルチャーをど真ん中で浴びてこなかったからこそ、佐久間さんの中にある対象への少し引いた批評的な視点。この距離感こそが、後に芸人さんとも関わりすぎない、客観的な面白さを出し続けるクリエイティビティにつながっているのかもしれません。東京で生まれカルチャーど真ん中で育った娘さんを「憎い」と笑う佐久間さんでした。
大学進学後は福島県の寮に入るも、大学までの遠さに耐えきれず一人暮らしへ。これがキッカケとなり、バイトとカルチャー漬けの日々に突入していきます。大学合格者の胴上げのバイトや、地方でのお菓子サンプリング配布、学生寮を回る携帯営業など、少し変わった短期バイトを渡り歩き、演劇やライブに通う日々。
気がつけば大学に通うことも忘れ、カルチャーに浸りきっていた佐久間さん。当然のように留年し、そこからは心を入れ替えて勉学にも励むように。就職氷河期ど真ん中の1999年に就職活動を迎えた佐久間さんは、テレビ東京への就職を決めます。
ところが、当時のテレビ業界の若手に「インプット」などという概念はなく、多忙な業務に加えて、上司からの飲み会の誘いも多く、好きだった映画やライブ、演劇に行く時間が確保できなくなってしまいます。このままではダメになると感じた佐久間。ある日突然、これまでお酒を飲んでいたにも関わらず「飲めなくなりました」と宣言し、すべての飲み会を断る下戸宣言でした。
上司や先輩から嫌味を言われ、可愛がられなくなることも覚悟の上での、この決断。自分の時間を取り戻した佐久間さんはインプットを再開し、後の『ゴッドタン』でタッグを組むことになるバナナマンさん、東京03さんといった芸人さんたちのライブに通うことができたのです。
良いディレクター、プロデューサーになりたい人は、一回カルチャーに潜るべきだという林さん。イナズマフラッシュにこれまで登場されたクリエイターの方々、皆さんどこかでカルチャー漬けの日々を送っている印象があります。
社会人になると、まとまった時間を作って本を読んだり映画を見たりすることは格段に難しくなります。佐久間さん自身、学生時代にアイザック・アシモフの全集を読破したような経験が、今の「カルチャーの基礎体力」になっていると教えていただきました。
次回は佐久間さんが漫画家を目指していた時期のお話から、20年目を迎えた『ゴッドタン』という長寿番組が辿ってきた変遷や、テレビ東京時代の一介のサラリーマン時代に始まった『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の裏話、そしてクリエイターと家庭環境のお話など幅広くお送りします。
ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。