#67 学生時代に影響を受けた漫画の話
- Update:
- 2025.10.20
佐久間宣行 テレビプロデューサー


- Update:
- 2025.10.20
1975年生まれ。福島県いわき市出身。 テレビ東京のプロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「ピラメキーノ」「ウレロ☆シリーズ」「キングちゃん」などを制作。2019年4月からラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0」を担当。 2021年3月末にテレビ東京を退社しフリーに。Netflix「トークサバイバー」「罵倒村」「デスキスゲーム」 「LIGHTHOUSE」DMMTV「インシデンツ」YouTube「NobrockTV」「BSノブロック」は総登録者300万人。 著作に「佐久間宣行のずるい仕事術」「ごきげんになる技術」など。レギュラー番組「勝手にテレ東批評」
イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。
今回は番組8人目のゲストとして、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんをお招きして録音された、#67収録の様子をご紹介します。

対談前半の最後となる今回は、前回でも話題にあがった漫画の話題から始まります。士郎正宗先生やゆうきまさみ先生、原秀則先生の影響を受けて、小学校高学年からSF作品を描きはじめた佐久間さん。実際に当時キャラクターたちをルーズリーフに描いた写真を林さんに見せる展開に。
当時、実際に何ページかの作品を仕上げて妹さんに見せてみたところ、酷評されてしまい筆を折ったそう。もしその評価が違っていたら、テレビプロデューサー佐久間宣行は誕生していなかったかもしれません。
地方と東京のカルチャー格差について、一流のエンタメとして全国に届くのはテレビか漫画くらいしかなかった時代。小学生だった佐久間さんは友人とジャンプ・サンデー・マガジンを持ち寄って回し読みをしており、サンデー担当だった佐久間さんは、高橋留美子先生やあだち充先生の作品に親しんでいたそうです。

中学高校時代は『ドラゴンボール』や『SLAM DUNK』といった、社会現象ともなった世界的名作を週刊連載で読むという、今考えれば贅沢過ぎる漫画体験の日々。少し成長した頃には『アフタヌーン』と出会い、『寄生獣』に衝撃を受け、「ジャンプやサンデーは子供じゃねえか」と感じる時期もあったとか。
漫画以外にも、『ロードス島戦記』や『アルスラーン戦記』といったファンタジー小説、さらにはアニメ雑誌『アニメージュ』や『ニュータイプ』も購読するなど、あらゆるカルチャーに夢中になっていた様子が伝わってくる一幕となりました。
当時は多いと感じていたけど、今思うと世の中のエンタメを「見切れる」最後の時代だったのではないか、と振り返る二人。現代ではそもそものコンテンツの供給量が大きく増加し、好みなども多様化しています。Netflixのマイリストの見ていない作品を振り返るだけで絶望するほどのコンテンツ量。そんな時代に作品を送り出す苦悩についても語られます。

2025年に20年目を迎え、長寿番組となった『ゴッドタン』。佐久間さんは「番組のフェーズを見極めたから続いた」と分析。その戦略を下記にまとめてみようと思います。
・第1フェーズ: おぎやはぎさん、劇団ひとりさんといった出演芸人が面白いと思ってもらい、彼らに売れてもらうために過激な企画をやった時期。
・第2フェーズ: 出演者が売れっ子になると、過激な企画がパワハラに見えるリスクが出てくるため、芸人ではなく「番組自体がチャレンジャー」という見せ方にシフト。映画制作やライブといった企画で、番組として挑戦する姿勢を打ち出していく。
・第3フェーズ: 時が経ち、視聴者が入れ替わるタイミングで、三四郎など若手芸人を「発掘する番組」へと大きく転換。『ゴッドタン』から新しい才能が生まれる、という価値を生み、見逃せない番組としての地位を確立。
・第4フェーズ: 番組が持つ「深夜の変なことを15年近くやっている番組」としての希少価値を活かし、配信の数字に強い企画を立てることで現在も人気に。
時代の変化や出演者の立ち位置を冷静に分析し、時代に合わせて番組の役割を巧みにアップデートさせ続けてきたことが、『ゴッドタン』が人気番組であり続ける理由なのでしょう。

番組後半では2019年から続いている『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』に関する話題も。こちらも『ゴッドタン』と同じように幾つかのフェーズに分かれており、芸人・お笑い界の裏話を喋ろうとしていたところ、早々にネタが枯渇した時期があったそう。
そこから、他のパーソナリティにはない「サラリーマンであること」「思春期の娘がいること」を生かした喋りに変えていったところ、多くの人に聞かれるようになっていきます。佐久間さんの仮説→テスト→分析を繰り返すモノづくりのやり方が伺えました。
ラジオでも頻繁に登場する仲の良い娘さん。先日二人で旅行に行き、現地でファンの方から声をかけられた際に、誤解を避けるために「ガチ娘です」と説明したエピソードでスタジオが笑いに包まれたところで、前半の対談はお時間に。
佐久間さんの原点となった学生時代のお話や、番組作りへの姿勢、ご家族との関係性など聞いていった前半の対談となりました。次回からはリスナーの皆さんから頂いたメールも紹介しつつ、イナズマラッシュ恒例となった二人で作る企画についても話していきます。
ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。