#70 50歳からの働き方と時代との向き合い方
- Update:
- 2025.11.10
佐久間宣行 テレビプロデューサー


- Update:
- 2025.11.10
1975年生まれ。福島県いわき市出身。 テレビ東京のプロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「ピラメキーノ」「ウレロ☆シリーズ」「キングちゃん」などを制作。2019年4月からラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0」を担当。 2021年3月末にテレビ東京を退社しフリーに。Netflix「トークサバイバー」「罵倒村」「デスキスゲーム」 「LIGHTHOUSE」DMMTV「インシデンツ」YouTube「NobrockTV」「BSノブロック」は総登録者300万人。 著作に「佐久間宣行のずるい仕事術」「ごきげんになる技術」など。レギュラー番組「勝手にテレ東批評」
イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。
今回は番組8人目のゲストとして、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんをお招きして録音された、#70収録の様子をご紹介します。

今回もリスナーさんから頂いたメールの紹介からスタート。本編内でメールをご紹介させていただいた方には、イナズマフラッシュオリジナルステッカーをプレゼント中です。ぜひゲストへの質問はもちろん、林さんへの質問もお待ちしております!
「仕事で成功するために大切なことはなんですか?」という質問に、佐久間さんは「頑固さと柔軟さを両方持っていること」と答えます。「頑固さ」とは芸風をはじめとした、自身の譲れないクリエイティブの核であり、「柔軟さ」は市場や時代の変化に対応するマーケティング視点。この両輪が、天才ではない人間が成功するためには不可欠だと語ります。
一方、働いている量で決まるんじゃないか、と林さん。佐久間さんからも、どこかのタイミングで爆発的に働く時期はあった方が良いというのは確か、という意見も出ます。ワークライフバランスが話題となる昨今、もちろん、常に効率化する意識を持っている前提ですが、夢中で働くことの強さは不変なのかもしれません。

林さんからの、「俺成功したな、と思う瞬間ってあるんですか?」という質問には、そんなことはないと即答。『ゴッドタン』が20周年を迎えたことに対して、番組が続きスタッフを食べさせられていることに対する安堵はあるものの、「成功」を強く意識することはないようです。
今年50歳を迎える佐久間さん。意外にもその視線は、安定ではなく次なる挑戦へと向かっていました。イナフラにもゲストとして登場頂いた糸井重里さんが『ほぼ日刊イトイ新聞』を、秋元康さんがAKB48を始めたのが50歳前後だったことを例に挙げ、「後半の人生を面白くするには、変なことをやったほうがいい」というメンタリティになっているとのこと。
その言葉通り、地方での講演会やYouTubeでの楽曲プロデュースなど、これまでとは違う領域へも積極的に足を踏み入れている佐久間さんの最近の活動。長くお笑いの世界で戦ってきたからこそ、そのノウハウを活かしてホラーなど全く違うジャンルに挑戦してみたい、という野心も覗かせます。
10代の視聴者からはYouTuberだと思われていると佐久間さん。思ってたのと違う、と前置きしつつ、50歳でもチャレンジできるという姿勢を見せていきたいと語りました。

佐久間さんは、数多くの番組を手がけるクリエイターであると同時に、プロデューサーとして多くのスタッフを率いるリーダーでもあります。管理職や役員ではなく、モノづくりをするために会社を辞めた部分もある二人。チーム運営や各スタッフとのやり取りにおける苦労についても話題が及びます。
「上手くいった時といかなかった時で、態度を変えない」と決めているという佐久間さん。褒めていた時期もあったそうですが、良くない時に褒められずスタッフの皆さんのショックが大きかったそうで、今は冷静になって総括する時以外は、何の言葉もかけないように気をつけているとのことです。
自分が正しいと思い込んでいる状態が一番怖いからこそ、佐久間さんはあえて「つまらない」と指摘してくれる作家をチームに入れるなど、客観的な視点を保つための仕組み作りも意識的に行っています。常に自分が裸の王様にならないよう意識し、時代に合わせて変化し続ける。その謙虚な姿勢は、ここまでトップランナーでありながら成功したとは思っていない、佐久間さんのメンタリティから来るものかもしれません。

番組終盤には、現代社会の難しさにも言及がありました。メディアで語られる綺麗事の裏にある矛盾や欺瞞を冷静に見つめつつ、まずは目の前にいる人を信用させることが大事。SNSの普及により、誰もが発信者となり、過激な主張をする人ほど信者を集めやすい時代。正しいことをやり続ける人にとって、苦しい時代となっています。
佐久間さんは、自身がテレビ、ラジオ、YouTube、ライブなど、様々なプラットフォームで、複数の仕事を持っているからしんどさは削減できていると分析。全てのアウトプットに数字が返ってくる現代で、アテンションを集め続ける戦いには限界がありそうです。
正しさが揺らぐ時代だからこそ、他人の評価に振り回されず、自分の足で立ち続けることの重要性を改めて考えさせられる、深い議論となりました。
次回は佐久間さんとの対談最終回。恒例となったゲストと林さんのコラボ企画を練っていきます。漫画、テレビ、お笑い、演劇…。どんなクリエイティブが二人の口から語られるのか、お楽しみに!
ぜひ番組とこのホームページでお楽しみください。