#18 野木さんがドキュメンタリー制作で学んだ創作の原点
- Update:
- 2024.11.04
野木亜紀子 脚本家
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- 2024.11.04
野木亜紀子、脚本家。主な脚色作品にドラマ「重版出来!」「逃げるは恥だが役に立つ」、映画「アイアムアヒーロー」「罪の声」「カラオケ行こ!」など。オリジナル作品にドラマ「アンナチュラル」「獣になれない私たち」「コタキ兄弟と四苦八苦」「MIU404」「フェンス」など。2024年、「アンナチュラル」「MIU404」の続編にあたる映画「ラストマイル」公開、日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」放送。
イナズマフラッシュの収録レポートをお届けする本ページ。
今回は番組3人目のゲストとして、脚本家の野木亜紀子さんをお招きして録音された、#18収録の様子をご紹介します。
日本の漫画界とドラマ・映画界を席巻し続ける二人ということで、どこかでお会いしているのかなと思っていましたが、意外にも初対面。
野木さんといえば今年、「アンナチュラル」「MIU404」の続編にあたる映画「ラストマイル」が公開され、50億円を超える大ヒット。その世界観を共通する展開は、物語の枠を飛び越えてファンをワクワクさせ続けています。
一方で、漫画や小説などを原作とする実写映像化の名手としても知られる野木さん。
実写版映画『図書館戦争』シリーズ、映画『罪の声』、『俺物語!!』『アイアムアヒーロー』『カラオケ行こ!』やテレビドラマ『空飛ぶ広報室』、『重版出来!』、『逃げるは恥だが役に立つ』など、多くの作品を担当しています。
その中でも、漫画雑誌編集部を舞台とした、漫画編集者の群像劇である『重版出来!』のお話から始まった今回。漫画家の皆さんからも、未だに繰り返し見ているとの声が上がる名作です。ちなみに林さんの編集者のスタイルは、漫画家さんによって向き合い方を変えるタイプだそう。
野木さんが映像の世界に足を踏み入れたのは、日本映画学校(現日本映画大学)。座学は役に立たなかったと笑う野木さんでしたが、当時は自主的に塚本晋也監督『鉄男』をコマ送りにして、カット割りを書き出すなど、映画への情熱は人一倍。このときの経験は今にも生きているそうです。
実家に自分の部屋が無かったこともあり、二本立てやオールナイト上映など、あらゆる手段で劇場で映画を浴びる日々。津田さんや糸井さんのお話を聞いていても感じましたが、トップクリエイターの方々は、人生のどこかで圧倒的にインプットする期間があるように思います。
映画監督を目指して夢を追いかける毎日でしたが、ひょんなことからドキュメンタリーの制作会社に就職することに。映画業界に入ろうとすると、どうしても最初は安定した収入を得られず、実家を出たいという想いもあり、21歳からドキュメンタリー制作に従事していきます。
THE理不尽とも言える(?)エピソードなども交えつつ、制作会社では取材で様々な場所に行ったことが良い経験になったと野木さん。ニューヨーク・サンフランシスコなどアメリカはもちろん、ヨーロッパにも飛び、日本全国、宿の予約からカメラまで…。
当時返還前の香港への長期滞在や、アメリカ南部への取材など、一般的な20代では到底することの出来ない、数多くの体験。書籍やインターネットでは得られない取材の数々が、現在の脚本や作品づくりに繋がっているのです。
例えばWOWOW『フェンス』。世界最大規模の米軍基地を抱える沖縄の現在を描いた作品です。かつて報道記者として沖縄に住んでいたというプロデューサーと、沖縄出身のプロデューサーとともに、100人以上に話を聞く徹底した取材を元に制作された作品です。
誰かの一方的な意見だけでなく、カウンターとなる意見も準備する。取材を徹底的にしたからこそ、一般的には語りづらいテーマに対して、胸を張って向き合うことが出来る。センシティブな話題に関して、特に日本においては簡単に避けられる傾向にあり、創作でも扱われることの少ない印象があります。
ドキュメンタリー制作時代から経験を重ねてきた、野木さんの取材力。もちろん作品自体を面白くするために重要な能力ですが、同時に扱える題材を拡げる効果と解釈することも出来るのかもしれません。
初回から数多くのエンタメ作品に触れつつ、野木さんのキャリアの原点を聞いていった今回。初対面の2人でしたが、回を追うごとに打ち解けていき、休憩時間も話し込むほどに。
次回は野木さんのシナリオ賞受賞の経緯から、脚本家としてのデビュー、現代のドラマの作り方など気になる話題盛りだくさんでお送りしてまいります!
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