#19 野木さんが脚本家になるまでの歩みとテレビドラマの脚本事情

Update:
2024.11.11

野木亜紀子 脚本家

Update:
2024.11.11

野木亜紀子、脚本家。主な脚色作品にドラマ「重版出来!」「逃げるは恥だが役に立つ」、映画「アイアムアヒーロー」「罪の声」「カラオケ行こ!」など。オリジナル作品にドラマ「アンナチュラル」「獣になれない私たち」「コタキ兄弟と四苦八苦」「MIU404」「フェンス」など。2024年、「アンナチュラル」「MIU404」の続編にあたる映画「ラストマイル」公開、日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」放送。

収録レポート

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引き続きゲストとして、脚本家 野木亜紀子さんをお招きした、#19収録の様子を紹介します。

始まったばかりの2人の対談。今回は野木さんがドキュメンタリーの仕事から、脚本家を目指していくまでのお話からスタート。


時代は2000年前後。日本の不景気に合わせて、テレビの予算や影響力が少しずつ低下し始めた不景気な時期でした。海外に行けるようなドキュメンタリーの案件は、テレビ局が作るようになり制作会社には発注されずらい状況に。地方の美味しいご飯や旅館の紹介などバラエティを担当することが増え、いわゆるしっかりとした取材から作っていくドキュメンタリーが減っていってしまいます。

 

前回お話もありましたが、元々は映画学校で映画監督を目指していた野木さん。改めて自分のキャリアを見つめ直すタイミングで、社会人になり土日にドラマを見続けるような日々を送っていたこともあり、ドラマの脚本というものを入口として目指す道へ。

 

『フジテレビヤングシナリオ大賞』という、歴史と権威のある日本最大級の脚本賞に目標を定めます。過去の大賞受賞者は坂元裕二、野島伸司、尾崎将也、金子ありさ、安達奈緒子、金子茂樹など、説明不要のラインナップ。
当時は派遣社員として、なるべく定時で仕事を切り上げ、自主勉強を続けながら脚本を執筆し、年に1度儀式のように賞に提出することに。

この時盛り上がったのが執筆ツールの話題でした。2人が使っていたのが「ポメラ」というデジタルメモデバイス。文章入力以外の機能が無く、非常にコンパクトで持ち運びが容易。他に機能が無いので、サボりようが無いという、プロ仕様のデバイスです。(最新モデルではWi-Fiに対応していますが、今でもQRコードによるテキスト移動機能は残されています)

 

派遣社員として仕事を続けつつ、脚本のネタを職場などで探しながら、空いた時間で自主勉強と執筆作業。フジテレビヤングシナリオ大賞へ応募し続けた野木さんは、6年目『さよならロビンソンクルーソー』にて第22回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞。この時、ちょうどフジテレビヤングシナリオ大賞の応募資格である35歳でした。

 

ちなみに35歳という応募資格には「自称」という言葉が付いており、そこで落ちていても10年は続けていたと思うと野木さん。落ちたらそこからシナリオ・センターに通うことも考えていた、というのが本当に長期スパンで、人生をかけた挑戦だったということの証明かもしれません。

賞を取ったからといって、それだけで仕事が来るような甘い世界ではない脚本界。テレビ局によって、作品づくりのスケジュールや向き合い方、作り方から違ってきます。新人が参入しやすい場所で、なんとか戦いながら作品を担当し、キャリアを作っていくのです。

 

ちなみに師弟関係が残っている脚本家という職業。自身も独学である野木さんは、2024年現在弟子は募集していないそうです。(Google検索で「野木亜紀子 弟子募集」と調べた方のために、ここにしっかりと記しておきます)

元々、全部自分で書きたいタイプだという野木さん。複数脚本制なども、あまり上手くいっている感覚が無いそう。林さんの視点からしても、チームで共有しながら全員でスケジュールを合わせて、話しながら進めていかないと大変そうとの声があがりました。

 

とはいえ、全員で会話しながら進めるというのはなかなか無理難題。結局プロデューサーが権限を使い、無理やりな展開に書き直してしまう場合もあるそう。そんな場面に新人が出会ってしまったら、当然言い出すことも出来ず…。そこで戦うか、戦わないか。日本のドラマ制作の現場には、まだまだ知られていない戦いがありそうです。

 

次回は脚本家としてキャリアをスタートした野木さんの数々の作品の裏話や、チームビルディングのお話、「怖い」が止まらない連続ドラマ制作の舞台裏について盛り上がります!

 

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